@article{oai:teapot.lib.ocha.ac.jp:00037903, author = {Uberoi, Patricia and ウベロイ, パトリシア and Bahadur, Tarini and バハドウール, タリーニ}, journal = {ジェンダー研究 : お茶の水女子大学ジェンダー研究センター年報}, month = {Mar}, note = {application/pdf, application/pdf, 紀要論文, 南アジアにおける中年期の変化に関するこの論文は、アジアと西洋の諸社会における閉経に関する経験を比較する広範な研究プロジェクトの一部であり、日本と北アメリカの現象を扱ったマーガレット・ロック(1993)の先駆的な研究に啓発されたものである。この論文は大衆的な出版物だけでなく人類学・社会学、公衆衛生・女性の健康、フェミニズムと医学(産婦人科、内分泌学、老年学、精神医学)の各学問分野における文献の再検討と解釈に主に基づいているが、われわれはさらにこの問題について衛生学の研究者や女性の健康に関する活動家、社会科学者や様々な職業を持つ中年期の女性に多くのインタビューを行った。概して閉経はこの分野の研究文献においてほとんど注目されていない。南アジアの女性の多くが間違いなく現代生理学のなかで閉経不安症と見なされる症状を経験し、それを和らげる方法を模索しているが、通常これらの問題は老化の自然的過程と区別される医療上の状態とは見なされていない。ほとんどのインドの言語は「閉経」に該当する言葉をもたず、閉経という変化を単に月経の停止と呼んでいるように見える。この事実は、その地域における初潮と月経―変化、あるいは顕著に目立つ繰り返し起こる状態―の文化的意味にわれわれを注目させる。初潮の儀式は思春期の少女の受胎能力を祝福するだけでなく、不浄、羞恥と危険というテーマを劇的な方法で表現し、初潮後、毎月、周期的に作動し始める多くのタブーや規制を制度化する。しかし、閉経はこれらのタブーや規制を取り去り、女性を再び儀式的に浄化して、男性と同様に清い存在とすることができる。同時に、通常のライフコースにおいては、女性は閉経を迎えるとき、家族と社会のなかでの地位が頂点に到達する。もしその女性が母親としての社会=生物学的役割を果たし(ただし息子を産んでいるほうが望ましい)、未亡人になっていなければ。こうした状況下では、受胎能力と性的魅力とその欲望の喪失はあまり悔やまれない。まさに、閉経は妊娠の危険と月経によって反復的に引き起こされる屈辱からの救済として広く歓迎されているようである。とはいえ、今日、この事態をいよいよ修正するかもしれない力が、少なくとも都市部の富裕な上流階級の、そして国際的な背景と生活様式をもつ女性たちのあいだに及びつつあるように見える。この上流階級のインド人女性たちは、いまや女性のライフサイクルのすべての段階―閉経を含む―における身体意識ということにおいて、グローバルな動向のなかに統合されている。そしてこうした事柄について、大衆的な出版物や医学団体のあいだで急速に情報が流通している。このことは、一方で閉経をホルモン補充治療が必要とされるホルモン欠乏としてこれを「異常視」する傾向を生みだしているが、同時に他方では、顧客を「何歳も若返らせる」という触れ込みで急成長する美容ビジネスの利益をも生み出しているのである。現在強調されているのは、老化と疾病の自然の力への屈服などではなく、それらの過程をできるだけ長く遅らせ阻止できるような活動的で生産的で審美的な身体なのである。医学関係者の間で閉経への意識を高めるために重要な役割を果たしている機関に、インド閉経協会がある。同協会は、特定のホルモン欠乏症の治療として、そして骨粗鬆症と心臓病(年配の女性は特にかかりやすい)に対する予防としてホルモン補充治療(HRT)の容認を促進するという特定の目的のために1995年に設立された。しかし、いまの見通しとしては、HRT の容認とその長期的な予防としての使用には抵抗があるようである。治療が大多数のインド人女性には手の届かない高額なものであるということ以外に、(月経の継続を含む)不快な副作用の報告、そしてHRT と癌の関連についての指摘があることから、多くの医者と患者は躊躇している。さらに、南アジアでは、「西洋的」「逆症療法的」生理学と並んで代替的な土着医療システムも盛んであり、多くの場合、こうした土着医療システムのほうが、長期的にはより自然でより害のない治療を用いるため、慢性的で生活様式に関係する疾患の治療に特に適していると信じられている。同様に、美容ビジネスは、老化に関する問題がホルモン欠乏の身体の状態に関わるとは同定せずに、老化防止のための治療を提供する。今後ますますインド中流階級の女性は、おそらくHRT よりも強壮剤や美容治療といった養生法に頼り続けて閉経を乗り越えようとするだろう。そして、その一方で、大多数のインド人女性は、閉経に関わるこれらの商品のグローバルな「市場」のいずれからも、否応なく遠ざけられることになるだろう。(訳山腰京子お茶の水女子大学ジェンダー研究センター研究機関研究員)}, pages = {13--42}, title = {The Woman's Body in Midlife: Socio-Cultural and Medical Perspectives from South Asia}, volume = {4}, year = {2001} }